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Posted by machiku on  | 

オウムの予言 石垣島セミナー編

ばたばたしていて、久しぶりの更新になりました。
今回は、「予言」のことを書きたいと思います。

オウムの予言は、事件に大きな影響を与えたと考えられています。
そういう一面は確かにあったと思いますが、
実際にはすべてのサマナや信徒が
予言を素直に受け入れていたわけではありません。
私の場合も教団の中にいたときから、
違和感を覚えることがしばしばありました。

そのことを最初に感じたのは、「石垣島セミナー」のときだと思います。
衆議院選挙で惨敗した後に行われた、予言をテーマにしたセミナーです。
あらためて調べてみたところ、開催期間は
1990年4月14日から22日までの9日間となっていました。

私はこの頃、広島支部の支部長をしていました。
地方の支部なので干渉が少なく、
かなりマイペースで活動していたと思います。
セミナーのことは、支部に届いた通達で知りました。

オウムのセミナーに参加するには、数十万円程度のお布施が必要です。
このときも最初は、「30万円のお布施」という条件が示されていました。
かなり高額ですけど、お布施には現世への執着を切るという
修行的な意味合いがあるので、
オウムの中ではふつうに受け入れられていました。
お金や物質に執着していては、霊性も精神性も向上することはない、
というわけです。

しかし、このときはいつもと事情がちがいました。
募集の期日が迫ってくると突然、条件が緩和されたのです。
新たな指示は、「お布施は数万円でいいからもっと人を集めるように」
というものでした。
具体的な額は覚えていませんが、現地までの交通費を含む
実費くらいではなかったかと思います。

この頃は選挙に惨敗した直後でしたが、最初の条件で参加を希望する人は
広島支部にもかなりいました。
だからどうして条件が緩和されることになったのか不思議でした。

そのうちに、たまたま電話で話した東京本部の師から、
もっと驚くようなことを聞かされました。
それは、
「オースチン彗星が接近して、これから大変なことが起こる」
「できるかぎりの(在家の)信徒を連れて避難しなければいけない」
といったものです。

電話の相手は、このときかなり興奮していたようです。
でも私には寝耳に水の話で、かなりの温度差を感じたのを覚えています。

そもそも彗星が地球に接近することで災害のようなものが起こるとしたら、
どこかに避難したところで、結果はあまり変わらないように思います。
そんなことを思い浮かべて、率直に口にしていました。
それでも相手は興奮したままです。そして、
「そうかもしれませんが、とにかく大変なことが起こるのは確かです」
「覚悟して信徒さんをセミナーに参加させてください!」
というようなことを言われて、電話を切られてしまいました。

私がオースチン彗星の話を聞いたのは、この電話が初めてでした。
通達にそういうことが一切書かれていなかったので、
聞かされた内容にも、興奮している相手の態度にも驚きました。

この直後に、他の支部に電話をかけて様子を聞きましたが、
そこでは私と同じく呑気に活動していたことがわかりました。
それで少しだけ安心し、その話は忘れることにして、
オースチン彗星の話はせずに、ふつうのセミナーの案内として
在家信徒さんたちに声をかけ続けました。

石垣島セミナーのことは、後にオウムの中でも話題になることがありました。
でもこんな調子だったので、サマナの間でも
人によってかなり認識が違っていました。
やはり最も多かったのは、「オースチン彗星に関連した予言騒動」
というふうに思っていたという声です。
これは東京本部の影響力の大きさのせいかもしれません。

これらの見方は、いま現在、常識とされているものとも異なるようです。
一般的には、このセミナーはボツリヌス菌を撒く犯罪計画とセットで、
在家の信徒を巻き込まないための避難というのが真相であると
解釈されているようです。
これが最も筋が通っている見方であるのは確かなようですが、
私自身はそれですべてを説明するのは難しいのではないかと感じています。
その理由については、もう少しあとで書きます。

それはさておき、このセミナーはいつもと違って、本当に何から何まで
行き当たりばったりで行われているとしか思えないものでした。
そのせいで石垣島に向かうフェリーの中では信徒対応などに忙しく、
余計なことを考える時間はほとんどありませんでした。
そんな中でも、いろんな人がいろんな思い込みを話していたので、
モヤモヤした嫌な気分にさせられることは確かにありました。
でもそれは、慌ただしさから解放されて船室のベッドに入って寝る前の、
ほんの一瞬のことでしかありませんでしたが。

このセミナーに麻原さんが合流したのは、最終日に近くなった頃でした。
すぐに説法が行われましたが、それは海岸という異例の場所でした。
あのオウムが突然訪れてきたということで、現地では施設の利用を断られ、
私たちは海岸でテントを張りながら修行をしていたからです。
こうしたサバイバル感あふれる環境は、とくにオースチン彗星の話を聞かされて
動いていた人たちには、天変地異の前触れのように感じられたかもしれません。

残念ながらこのときの説法の内容は、ほとんど覚えていません。
あとで確認したところ、セミナーの正式名称は『神言秘密金剛菩薩大予言セミナー』
となっていたので、予言の話が中心だったように思います。
とはいえ、これからどんなことが起こるといった詳細なことを聞いた記憶は、
ほとんどありません。

私が覚えているのは、説法の後、セミナーに参加した在家信徒さんたちに
出家の意思を確認するようにと言われたことです。
そこで、広島支部の人たちに一列に並んでもらい、
「出家をしたい人は、右に一歩出てください」
と声をかけたところ、9割方がすぐに右に並んだので驚いたのをよく覚えています。
出家の意思を示さなかったのは、ほんの数人しかいなかったのです。

このようにオースチン彗星の予言にほとんど触れていなかった広島支部でも
このときにはたくさんの出家者が出ましたが、
これから自然災害が起こると信じていた他の支部では、
もっとたくさんの人たちが、このときに出家を決意しました。
ただ、そんな人たちの中には、出家を決意した動機が
これから起こると信じていた自然災害などから
身を守るためという人も少なくなかったようです。
そんなせいか、騒動が収まるとすぐにやめていく人も
けっこういたと聞いています。

そして、先ほど触れたように、このセミナーは
計画していたボツリヌス菌の散布から在家信徒を守るためのもの、
というのが一般的な見方になっています。
しかし、私個人は、本当の目的は
もっと別のところにあったのではないかと感じています。
もちろん、オースチン彗星の接近ともまた別です。

なぜそう感じたかというと、ボツリヌス菌の話には
あまりにも説得力がなさすぎるからです。
そういう計画があって、実際につくろうと試みたのは事実のようですが、
結果的に完成しなかったと聞いています。
本当に散布を実行するつもりなら、ボツリヌス菌がないのはおかしな話だし、
その状態で在家信徒さんたちを避難させるのは不自然です。
本気で計画を実行するつもりなら、しっかりと完成させて、
効果まで確認してからセミナーを開けばいいわけです。
そのようにしなかったのは、やはり本当の目的は別のところにあった、
ということではないでしょうか。

たとえばこれは、ボツリヌス菌をつくっているサマナに対する
マハームドラーのような意味合いもあったのかもしれません。
多くの在家信徒さんたちを実際に避難させたことで、
彼らは麻原さんの本気度を感じずにはいられなかったでしょう。
これは大きなプレッシャーになっただろうし、
その時点で実際につくるのが不可能だったとすると、
それが狙いの一つだったように思えてくるのです。

もともと麻原さんは説法などで、チベット密教のカギュ派の祖である
ティローパのことをときおり話していました。
一番弟子のナローパに対して行ったとされる過酷なマハームドラーの話です。
無理難題を与えて、それを実践させることを修行にしていたというもので、
ボツリヌス菌の培養もそれに倣って行っていたことかもしれません。
実際、オウムの中では、非合法なことだけでなく、合法的なことであっても
似たような話はたくさんありました。

もちろん後のことを考えると、実際に完成すれば
散布していた可能性は十分にあります。
でもその時期は、少なくともこのときではなく、
もう少し先になっていたような気がしています。
(※この時に実際に菌を散布していたという話もありますが、
それは殺傷能力のないことが確認されたものを撒いたと聞きました)

それから東京本部などで言われていたオースチン彗星の話にしても、
やはりなんらかの目的で意図的に流されたものではないかと感じています。
こちらは麻原さんが日頃から言っていた、「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ」
ということを出家のサマナのみならず、
在家の信徒さんにも深く実感させるのが目的だったのかもしれません。
オースチン彗星に関する予言の話は、
そのための手段として利用されたものではないかということです。

2年半前に東日本で起こった大地震と津波や
最近の竜巻をはじめとした異常気象では、日本中の誰もが
「今日と同じ日常の明日が来ることは、あたりまえのことではなかった」
ということを、本当に深く実感させられていると思います。

今日と同じ明日が来ないということは
本当なら当たり前のことなのですが、
平和な日常の中に没入してしまっていると、
そんな当たり前のことを忘れてしまうのが私たち人間だと思います。

そして、私たちはいつかは必ず死ぬということも、
頭では理解しているつもりが、そういう意識は、
平和の中にいては希薄なものになりがちです。

しかし、いかに私たちは生きるべきか、ということを
本当の意味で真剣に考え始めるのは、
死というものを深く実感したときであるのも確かです。

これは仏教で説かれている無常観を
強く感じている状態そのものです。

そして、麻原さんは、予言というものを使って
私たちに「死」というものを、
少しでも深く実感させようとしていたと思えるのでした。

実際、石垣島セミナーを経験した人の中からは、多くの出家者が生まれています。
出家の動機は様々だったかもしれませんが、少なくともその時点では
誰もが死というものを強く意識し、そこから自分の生き方についても
真剣に考えていたように思います。

これはオウムのサマナ生活の特徴でもありますが、
同じ状態が長く続くことはありません。
教団全体で取り組んでいることは時期によって大きく変わり、
個人で見てもワークや部署が変わることはよくありました。
私の場合、デザインや仏画を描くワーク以外に、
支部活動やサマナの修行監督などを経験しています。
それでも変化が少ないほうで、
ある一つの環境で安住しているケースはほとんどありません。
これもまた、サマナたちに
無常感を実感させるためのものだったように思います。

ただし、サマナに対してこの石垣島セミナーの次に待っていたのは、
このときよりも、はるかにリアリティーに欠けるマハームドラーだったのでした。
その話は次回に書くことにします。


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Category : オウムの予言
Posted by machiku on  | 5 comments 

-5 Comments

元R師 says..."ほんとに"
いきあたりばったりでしたよねえ。
こんなことを書くとお叱りを受けるかもしれませんけど、オウムってまるでコント集団のようでしたね。

オースチン彗星の説法は多分富士でのものもあると思います。
麻原がこっちに来るように呼んでいるとか、麻原彰晃彗星とか言っていたと思います。
2013.09.21 11:07 | URL | #- [edit]
深山 says...">元R師さん"
コント集団、ほんとにそうでしたよね。
石垣島セミナーの時のフェリーの中でも、サマナが食料を食べ尽くしてしまって、サマナ向けに船内放送を流さなければならなくなったとか、ネタとしか思えないこともたくさんありましたね。

やはり説法があったのですね。そうでなければ、あれだけみんなが必死になることはありませんものね。その説法に限っては、支部に回さなかったということなのでしょうか。それともたまたま広島支部にだけ回し忘れたのかな。あるいは、うっかり聞き飛ばしてしまったのか。
いずれにしろ、おかげで、この件に関しては、ちょっと引いて見ることができたように思います。
2013.09.22 12:17 | URL | #8w11VUaU [edit]
ライナス says..."予言"
尊師が予言を当てようとして予言したのか、
初めから外れることが分かっていて予言したのか、
それは興味ある問題ですが、
オースチン彗星関連の予言は、
信徒の心を乱して、死を意識させ、
出家させるための予言であって、
初めから外れることが分かっている予言、
いわゆる一つのマハームドラーであったと解釈できます。

その当時も分かっている人は、
初めから分かっていたようです。
サマナでも石垣セミナーの日程を
初めから把握している早川さんのような幹部と、
もしかしたら、石垣島に行ったきりで、
帰ってこれないのではないか、
帰ってきたとしても日本は廃墟のようになっているかも、
と考えているサマナがいたように思います。
石垣島に、オウムで飼っていた馬まで連れていったのは、
一種のと演出でしたが、
それを演出だと見破っていた信徒やサマナは、
少数派であったのではないでしょうか。
2013.09.24 02:06 | URL | #An19GRJY [edit]
深山 says...">ライナスさん"
貴重な意見をありがとうございます!
やはり、早川さんは最初から日程を把握していたんですね。要するに、日程は始めからあったということですよね。
私が支部にいたとき、信徒さんをセミナーに勧誘するときに、日程をどう言っていたか記憶が曖昧だったのですが、少なくとも、もう帰って来られないかもしれないとは言ってなかったはずでした。
それでも、とくに富士にいたサマナは、そう思ってた人も大勢いたということなんですよね。
この石垣島セミナーの話は、その後の予言の話の謎解きにもつながってくると考えていたので、早川さんの話を知ることができたのは、とてもありがたいです。

グルの演出の仕方は、本当に半端なくて、そこだけ見てしまうと、真相がわからなくなってしまいますよね。もっとも、それが狙いなんでしょうけども。
2013.09.24 10:36 | URL | #8w11VUaU [edit]
齋藤知子 says..."No title"
石垣島に来られていたんですね。わたしは2005年に石垣島のホテルで麻原さんが出てきました。
全く身に覚えのない存在でしたが、当時はそれを闇組織に拉致されるのかと怯えました。
つい最近になって麻原さんのことが急に気になりだし調べてるところです。元R師さんのブログ吹きながら読んでます。ほんと漫画みたいにおもろいですね。
2015.07.16 18:44 | URL | #- [edit]

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